GPUの温度が100度まで上がっていました。

保証が切れるのを覚悟でグラボを分解し、グリスとサーマルパッドを交換しました。温度は80〜90度まで下がりました。ここまでは成功です。

ところが、そのあとゲーム中に画面が真っ暗になって、ゲームが落ちるようになりました。原因は私のミスで、VRAMのサーマルパッドを1枚貼り忘れていました。

この記事では、交換して温度がどう変わったかと、落ちるようになってから原因に気づくまでを順番に書きます。これから自分でグリスやパッドを替えようとしている人が、私と同じところでつまずかないようにするのが目的です。

先に書いておくと、私はグラボの分解に慣れている人ではありません。手順の正解を教える記事ではなく、素人が一度やって、一度失敗した記録として読んでください。

GPUが100度まで上がっていた

まず、私のPCの構成です。

  • CPU … Ryzen 9 5900X
  • マザーボード … ASUSのSTRIXシリーズ
  • グラボ … MSIのRTX 3080(GAMING X TRIO)
分解したグラボ、MSIのGeForce RTX 3080 GAMING X TRIOの箱
分解したグラボ、MSIのGeForce RTX 3080 GAMING X TRIOの箱

このRTX 3080の温度が、100度まで上がっていました。温度を見ていたのは、3DMarkのTime Spy(グラボに重い負荷をかけて性能を測るベンチマーク)を実行している最中です。

100度という数字を見て、さすがにまずいと思いました。どこまでが安全なのか、はっきりとは分かっていませんでした。でも、このまま使い続けて壊れるよりは、自分で手を入れてみようと考えました。

問題は保証です。グラボを分解すると、メーカーの保証が受けられなくなることがあります。私は保証が切れるのを覚悟したうえで分解しました。これからやる人は、自分のグラボの保証がどうなるかを先に確認しておいてください。分解したあとで確認しても、もう戻せません。

グリスとサーマルパッドを交換した

グラボの中で熱を逃がしているのは、主に次の2つです。

  • グリス … GPUのチップとヒートシンクの間に塗るもの
  • サーマルパッド … VRAM(グラボのメモリ)などのチップとヒートシンクの間に挟む、柔らかいシート

どちらも年数が経つと傷んで、熱を伝えにくくなります。今回はこの2つを両方とも新しいものに替えました。

グリスはMX-4を使いました。

悩んだのはサーマルパッドのほうです。パッドには厚さがあり、薄すぎるとチップにヒートシンクが届かず、厚すぎるとヒートシンクが浮いてGPU側の密着が悪くなる、と言われています。

ネットで調べてはみたものの、自分のグラボにどの厚さが合うのか、確信は持てませんでした。そこで、厚さの違うパッドを3種類買っておいて、分解したその場で合うものを選ぶことにしました。買ったのはこの3つです。

  • 0.5mm … nkomaxのシリコンサーマルパッド(85×45mm)
  • 1.0mm … ThermalrightのVALOR ODIN(95×50mm)
  • 2.0mm … ThermalrightのVALOR ODIN(95×50mm)

1種類に決め打ちして外れると、パッドを買い直すまでグラボを組み戻せません。何種類か手元にあれば、開けてから選べます。厚さに自信がない人には、この買い方をおすすめします。

温度は80〜90度まで下がった

交換したあと、同じTime Spyを実行して温度を見ると、80〜90度になりました。

  • 交換前(Time Spy実行中) … 100度
  • 交換後(Time Spy実行中) … 80〜90度

同じ負荷をかけて比べているので、10〜20度下がったと言っていいと思います。交換の前後で温度を比べるときは、同じベンチマークを同じように回して比べるのがおすすめです。普段使いの温度だと、そのとき何をしていたかで数字が変わってしまいます。

100度を見たときの「まずい」という感覚からは抜け出せたので、手を入れた意味はあったと思っています。

ここで終わっていれば、成功した話として書けました。

交換したあと、ゲーム中に画面が真っ暗になった

温度が下がって安心していたところで、次の症状が出るようになりました。

ゲームをしていると、急に画面が真っ暗になって、ゲームが落ちる。

温度は下がっているので、熱で落ちているとは最初は思えませんでした。ただ、はっきりしていたことが1つあります。

交換する前は、こんな落ち方はしていませんでした。

グラボに手を入れて、そのあとから落ちるようになった。だとしたら、疑うべきなのは自分の作業です。ドライバやゲームの設定を疑う前に、もう一度グラボを開けることにしました。

開けた瞬間に「あっ!」となった

グラボをもう一度分解して、ヒートシンクを外しました。

開けた瞬間に「あっ!」となりました。

VRAMのサーマルパッドが、1枚だけ貼られていませんでした。1回目の作業で貼り忘れていたのです。

実は、サインは出ていました。交換したあと、私はVRAM(メモリ)の温度もソフトで見ていて、「パッドを替えたのに、たいして変わらないな」と思っていたのです。GPUの温度は100度から80〜90度まで下がっていたので、そちらに気を取られて、VRAMのほうは「こんなものか」で流してしまいました。

パッドが無いVRAMのチップは、ヒートシンクに熱を逃がせません。新しいパッドを貼ったはずなのにVRAMの温度が下がらないのは、今思えばおかしな話でした。

貼り忘れた1枚を貼り直して組み戻すと、落ちなくなりました。VRAMの温度も下がりました。

組み戻したRTX 3080。今は落ちずに動いている
組み戻したRTX 3080。今は落ちずに動いている

同じ失敗をしないために

これからグリスやパッドを替える人に、私の失敗から言えることは4つです。

1. パッドの厚さに自信がなければ、何種類か買っておく

私は0.5mm・1.0mm・2.0mmの3種類を用意して、開けてから合わせました。1種類に決め打ちして外れると、買い直すまで組み戻せません。

2. 閉める前に、パッドを貼るべきチップを数える

私はこれをやらなかったので、1枚貼り忘れました。次にやるなら、ヒートシンクをかぶせる前に「パッドが要るチップ」と「貼ったパッド」を指で1つずつ数えます。VRAMのチップは同じ形のものが並んでいるので、1つ抜けていても目が慣れてしまって気づきにくいです。

3. 組み戻したら、GPUとVRAMの両方の温度を見る

GPUの温度が下がっていても、VRAMの温度が下がっていなければどこかがおかしいです。私はVRAMの温度を見ていたのに、GPUが下がったことに安心して流してしまいました。パッドを替えたのにVRAMの温度が変わらなければ、それは貼り忘れか厚さ違いのサインです。

4. 作業のあとから不具合が出たら、まず自分の作業を疑う

交換前は落ちていなかったのに、交換後に落ちるようになった。それなら、原因はほぼ自分の作業です。ドライバや設定を疑うより先に開けたほうが早いです。私の場合は、開けた瞬間に分かりました。

まとめ

  • RTX 3080がTime Spy実行中に100度まで上がっていたので、保証が切れる覚悟でグリス(MX-4)とサーマルパッドを交換した
  • パッドは0.5mm・1.0mm・2.0mmの3種類を買っておき、開けてから合わせた
  • Time Spy実行中のGPUの温度は、100度から80〜90度まで下がった
  • ところがVRAMのパッドを1枚貼り忘れていて、ゲーム中に画面が真っ暗になって落ちるようになった
  • VRAMの温度が「替えたのに変わらない」のがサインだったのに、見逃していた
  • 貼り直したら、落ちなくなり、VRAMの温度も下がった

グラボの分解は、慣れていなくてもできました。ただ、閉める前に数えることと、組み戻したあとにVRAMの温度を見ること。この2つをやっていれば、私は2回開けずに済みました。これからやる人は、この2つだけは忘れないでください。